最近、不同意わいせつ罪で逮捕されたというニュースをよく見聞きしますが、不同意わいせつ罪と強制わいせつ罪のちがいは何ですか。
セクハラとは、セクシャルハラスメントの略語で、一般的には職場において労働者の意に反する性的な言動がなされたり、これに対する労働者の対応如何によりその労働条件について不利益な扱いをしたり(対価型)、「性的な言動」により就業環境が害される(環境型)ことです(男女雇用機会均等法第11条参照)。
ところで、このようなセクハラ行為のひどいケースになると犯罪に該当するような悪質なものもあります。以前であれば、強制わいせつ罪などに該当するのではないかと疑われるようなケースもないとは言えませんでした。
しかし、実際に強制わいせつや強姦を立証することはハードルが高いと言われて泣き寝入りする被害者もいたのではないかと思います。それというもの、旧強制わいせつ罪は13歳以上の者に対して「暴行又は脅迫」を用いて被害者の意思を抑えつけ、無理やりわいせつな行為を行った場合を想定していました。
判例によれば、わいせつな行為とは、「性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」をいうと解されています(最大判昭和32年3月13日刑集第11巻3号997頁参照)。具体的には、街中で見知らぬ相手に突然抱きつく、体を触る、キスをする、衣服を脱がせて裸の写真を撮影するなどの行為がわいせつ行為に該当するといえます。
セクハラ行為が強制わいせつとなるためには、暴行または脅迫や抗拒不能というような要件があり、これらの要件を立証することは困難を伴うことがあり、本来は処罰されるべきセクハラ行為が不問に付されるケースもあったかもしれません。しかし、これらの理由から処罰にばらつきが出るというのはいいことだとは言えません。
このため、令和5年7月から強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」に改められることになりました。これは、犯罪が成立する要件を明確化して適切な処罰を可能にするためのものです。
この不同意わいせつ罪のポイントは「不同意」ということです。この「不同意」とは、暴行もしくは脅迫、心身の障害、アルコールもしくは薬物の影響、睡眠その他の意識不明瞭など8つの行為、状態が原因となって同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態をいいます。例えば、被害者にお酒を飲ませて泥酔させてわいせつ行為に対する不同意を表明することが困難な状態にさせてわいせつ行為に及ぶと不同意わいせつ罪になります。
この法改正により、今まで不問に付されていたわいせつ行為を適正に処罰することが容易になり得ることになりました。不同意わいせつ罪の刑罰は、6か月以上10年以下の拘禁刑です。この罪には罰金刑がなく、起訴されると公開法廷で審理されることになります。

