今年の春先ころ、これから田植えが盛りとなる時期に、田んぼを作っている一人暮らしのかなりの高齢者の方が相談に見えました。相談内容は、自分が耕作している田んぼに隣り合わせになっている田んぼの所有者が、その田んぼの代かきをした時に出た土を相談者が所有する田んぼの畦畔に積み上げてしまったという相談でした。積みあがった土が邪魔になり自分の田んぼの耕作に支障をきたしているので撤去させたいということでした。米を作る高齢者にとってはすぐにでも土を撤去してもらいたいということでした。
言うまでもなく相談者が所有する田んぼや畦畔部分の土地に所有者の同意がないまま無断でほかの土地から出た土を積み上げる行為は相談者の所有地に対する侵害となります。このため、相談者は土地所有権に基づいて土を積み上げた侵害者に対して土の撤去とその部分の土地の明渡をもとめる妨害排除請求ができます。
問題はすでに田植えの時期に入っているので如何にして速やかに土を除去させることができるかということです。普通に考えれば、土地所有権に基づいて土の撤去を求める訴訟を提起したり、土の撤去をもとめるための仮処分申請をすることになりますが、この方法をとると判決が出るまでに時間がかかってしまいますし、一人暮らしの高齢者の方に必要な書類等を準備してもらって仮処分申請するのもあまり現実的ではなく田植えの時期も大幅に過ぎてしまう恐れがありました。また、土の撤去を求める調停の申立をすることも可能ですが、最初の調停期日が指定されるのが申立をしてから1か月くらいかかることも問題でした。
このため、功を奏するかどうか不透明でしたが、相談者に説明して内容証明郵便で土の撤去を求める通知を出したところ、相手方の娘さんという方から電話をいただき、事情を説明したところ、通知を出してから10日も経たないうちに土の撤去が完了することになり早期に解決をすることができました。
今回のケースは偶々うまく解決に至ったケースですが、トラブルを抱えることになったときは速やかに専門家に相談をすることにより思いもかけず早期に解決することができる場合もあるという例でした。

