「離婚のルールが変わる!」第2弾をお届けます。
今回は、養育費の支払確保と面会交流に関する規定の見直しについて、簡単にご説明いたします。
③ 養育費の履行確保に関する見直し~養育費の支払確保~
これまでは、父母間で養育費の支払を取り決めていたとしても、養育費の支払がなかったときの対応に限界がありました。養育費を受け取る側の親の立場としては、養育費を支払う側の親の財産を差し押さえる(給与や預金から取り立てる)ことを検討することになりますが、そのためには養育費の支払いについて、公正証書や調停調書、審判書などの「債務名義」を取得することが必要でした。
今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与される(民法第306条3号)ため、債務名義がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになりました。協議離婚などで養育費を定めたものの、公正証書にまでしていなかったケースでも、養育費の取り立てが容易になることになり、履行確保に向けて大きく前進したといえます。
また、これまでは、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めなければ、養育費を請求することができませんでしたが、今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、暫定的に一定額の養育費を請求することができるようになりました(民法第766条の3)。その額は、子一人当たり月額2万円とされています。もちろん、これはあくまで暫定的な金額ですので、のちに養育費について正式に決定した場合には、そちらに従うことになりますので、子一人当たり月額2万円以上とする内容の合意も、もちろん可能となります。この暫定的な養育費の支払がされないときは、さきほど述べたとおり、差押えの手続を申し立てることができます。
裁判所が養育費を決定する場合には、父母の収入が大きな考慮要素となります。しかし、勤務先がそもそも不明であったり、自営業であったり、副業があったりするなど、相手方の収入資料の入手が困難な場合があります。また、養育費の支払いがなされなくなった場合には差押えができますが、相手方がどのような財産を持っているのかがわからなければ有効な差し押さえができません。このように、養育費の履行を確保するためには相手方の財産(収入)が適切に開示されなければなりません。この点についても改正がなされており、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています(民事執行法167条の17、人事訴訟法34条の3、家事事件手続法152条の2)。
④ 面会交流に関する規定の見直し
面会交流について、当事者間で話し合いが進まない場合、裁判所の手続に移行することがあります。そもそも面会交流が長期間実現できていないような場合などは、面会交流を当事者間で実施することが困難な場合もあります。そのような場合に、裁判所の関与のもとで試行的に面会交流を実施するということが行われていました。これについても、明文化され、家事事件手続法152条の3などで「子との交流の試行的実施」に関する規定が設けられました。
また、面会交流の当事者についても、父母に限らず事情によっては「その他の親族」との面会交流を認める規定が設けられました(民法766条の2)。子どもと同居していたり交流のあった祖父母などが想定されています。
紛争性の高い面会交流事件では、子どもの気持ちが置き去りにされ、父母やその親族を巻き込んだ紛争となることも少なくありません。条文上も「子の利益のため」と規定されており、子どものための面会交流の規定であることが意識されています。
次回は、財産分与とその他の改正点についてご説明をさせて頂く予定です。

