事案の内容
Aさんは義父であるBさんの事業を手伝っていましたが、Bさんが亡くなったことでBさんの相続人の間で遺産分割の話し合いが行われました。AさんはBさんの事業を手伝うにあたり、様々な負担をしてきていたので、自分も遺産分割の話し合いに参加しようとしましたが、「相続人ではないから」という理由で話し合いに混ぜてもらうことができませんでした。Aさんは自分がこれまでBさんに尽くしてきた貢献が正当に評価されていないと感じ、弁護士に相談されました。
事案の解決
BさんはAさんの義父ということですから、AさんとBさんが養子縁組をしない限り、AさんはBさんの相続人ではありません。その意味でBさんの遺産分割協議に混ぜてもらえないのは致し方ないところがあります。一方で、Aさんのように、相続人ではないものの、被相続人(亡くなったBさんのような方)の財産維持に貢献した人を無視してよいのかという問題もあります。そこで、近時「特別寄与料」という制度が設けられ、Aさんのような方の救済を図る民法改正がなされました。
この特別寄与料とは、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族」が相続人に対して寄与に応じた金銭請求をすることができるというものです(民法1050条1項)。AさんはBさんの義理の娘であり、「親族」に該当しますので、AさんがこれまでBさんのために尽くしてきたことが前述した法律の要件に当てはまる場合には、相続には混ざれなくても、特別寄与料という形で金銭の支払いを受けることができることになります。
この金銭請求について当事者間で話し合いがまとまらなければ家庭裁判所で決めてもらうことになり、本件ではAさんは相続人を相手に家庭裁判所で特別寄与料求める調停を起こしました。調停のなかでAさんの長年の貢献を主張していった結果、最初は懐疑的だった相続人らが次第にAさんの長年の貢献を評価するようになり、最終的には一定の金銭補償を受けることができることになりました。Aさんとしても、これまでの貢献が評価されたと感じられたようで、一定の満足がいく結果となったようです。
この制度はまだ始まったばかりであり、事例の集積を待たなければならない部分もありますが、今回のAさんのような状況にある方はたくさんおられるのではないかと思います。自身の貢献が正当に評価されず相続人らから全く金銭補償を受けられないような場合には、特別寄与料を請求できる可能性がありますので、一度弁護士等にご相談下さい。

